ヨコハマ買い出し紀行
久しぶりに芦奈野ひとし先生の「ヨコハマ買い出し紀行」を読んだ。何でも昨年まで連載されていたらしい。調べてみると1994年が連載開始らしいので、12年くらい連載していたそうです。1994年は今の会社に入社した年。ずいぶん長く連載していたんだなぁ。
「ヨコハマ買い出し紀行」は近未来 温暖化により水没した関東(三浦半島辺り?)を舞台にして、喫茶店を営むロボットの「アルファ」さんを中心に、そこに生きる人々の日常を書いたお話です。特に派手なお話はなく、未来なのにノスタルジックな雰囲気の中、アルファさんや友人知人たちのゆっくりとした生活が描かれています。
このマンガでアルファさんや友人たちの旅行や、散歩のような描写が多くあるのですが、多くは他人にとって意味のないことが多いです。野原へ出向いてみたり、夜景を眺めていたりと、他人にとってはどうってことない風景の変化を楽しむだけっていうのがとても多いです。人によっては時間のムダとも思われるその行為が、なんとなくライダーと通じるものがある気がします。
その中で私が好きな話は、アルファさんの知人で旅人のアヤセが、蛍光灯だけが残った関越トンネルを延々と徒歩で歩いていくお話。真っ暗の中、トンネルの蛍光灯と手に持った懐中電灯の明かりだけでひたすら歩いていく。トンネル踏破は面白いと聞いて来たのだが、歩いていてもよくわからない。しかも歩いている途中で懐中電灯の光が消えてしまいます。トンネルの蛍光灯だけで歩き始めると、半信半疑な気分も手伝って、上下の感覚や、方向感覚がマヒし始めてしまいます。こりゃ駄目だ~っと思った矢先、トンネルの中ほどでやっているお店(?)に助けられます。そこで一息ついて、店主と話をして行くうちに、このトンネルの魅力に気づき始めます。そして直してもらった懐中電灯をわざと付けずに、蛍光灯の光を目印に歩いていきます。今度は踏破することに喜びを感じながら。
私も歩いてみたいですね、暗い関越トンネルを。意味なんて無いんだけど、踏破してみたいっていう気持ちにさせられます。
劇中、このアルファさんはロボットというより、普通の人間と同じように扱われています。不老不死のお姉さんという位置づけかな。
しかしその「不老不死」ゆえに周りと一緒に歳を取る事ができません。話が進んでいくにつれ、友人だった少年は自分の背丈を追い越して、何時しか結婚してこの土地からいなくなってしまいます。同じく幼い少女だった友人は、子供を育てるまでになりました。アルファさんは、成長していく彼らを見て、自分だけが置いてけぼりをくらっている気分になってしまいます。
まるで成長していない自分と照らし合わせちゃいますね(笑)。
最終回、どれくらいの時間が経ったかはわかりません。彼女がいつものように走り廻っていると、自分を良くしてくれたおじいさんがいたガススタンド、自分を治療(修理)してくれた老先生がいた病院は荒れ果た姿になっています。
彼らはいったいどうなったんでしょうか。
そして自分の店に戻ると、自分と同じロボットである「ココネ」が笑顔で迎えてくれます。彼女と同じく歳を取らない「ココネ」が。
独特の雰囲気、独特な世界観。まさに惹きこまれるように読んでしまいます。セリフが少なく、風景画をめくっていくような感覚なので、あっと言う間に全巻読破できてしまいます。
忙しい毎日を送っているので、たまにはこんなゆっくりしたマンガを読むのもいいですね。
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ヨコハマ買い出し紀行 1 (1) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 2 (2) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 3 (3) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 4 (4) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 5 (5) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 7 (7) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 (8) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 9 (9) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 10 (10) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 11 (11) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 12 (12) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 13 (13) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 (14) 著者:芦奈野 ひとし |
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ヨコハマ買い出し紀行 販売元:アニプレックス |
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